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DXと事業承継を同時進行させる。後継者不在の中小企業が取るべき選択

📅 2026年06月29日
アキナイクロス

「後継者がいない。でも事業を終わらせたくない」——地方の中小企業経営者に最も多い相談の一つだ。

DXと事業承継を同時進行させる。後継者不在の中小企業が取るべき選択

事業承継問題は日本全体の課題だ。2025年には127万社の中小企業の経営者が70歳以上になると言われており、後継者不在率は60%を超えるという調査もある。

しかし、後継者不在の会社がすべきことはM&Aや廃業だけではない。DXを先に進めることで、事業承継の選択肢が広がる。この組み合わせを理解している経営者はまだ少ない。


なぜDXが事業承継の選択肢を広げるのか

なぜDXが事業承継の選択肢を広げるのか

後継者が見つからない理由の一つは「属人化した暗黙知の多さ」だ。

「○○さんでないと受注交渉できない」「仕入れは創業者の人脈があるから成立している」——これが引き継ぎを困難にする。DXはこの属人化を解消する手段になる。

DXが事業承継に与えるプラス効果

  • 属人化の解消:業務が手順・データとして可視化されることで、創業者でなくても運営できる状態になる
  • 企業価値の向上:デジタル化された業務記録・顧客データ・売上データは、M&A時の企業評価を高める
  • 後継者候補の間口が広がる:暗黙知が減ることで、業界未経験者や外部経営者でも引き継げるようになる

注意点

  • DXに時間がかかる:承継まで3〜5年あるなら今から始めるべきだが、「来年引退したい」なら並走は難しい。早めに動くことが前提
  • DXが進んでも人脈は引き継げない:取引先との関係性は別に引き継ぎ計画が必要

DXと承継を同時進行させるスケジュール感

DXと承継を同時進行させるスケジュール感

3〜5年前から始める場合

1年目:現状の業務フローの可視化・文書化。どの業務が属人化しているかを棚卸しする。
2年目:デジタル化の優先順位を決めて着手。顧客管理・受発注・経営数値の可視化から始める。
3年目:後継者候補を探しながら、デジタル化した業務で後継者が運営できることを検証する。承継後も引き続きサポートできる体制を作る。
4〜5年目:実際の承継。業務のデジタル化が進んでいれば、承継後の混乱が小さい。

【実録:建材販売業(従業員12名、創業者65歳)の事例】
子供は後継ぎを望まず、後継者不在の状態だった。M&Aも考えたが、業績が良い今のうちに企業価値を高めてから検討したいという意向があった。まず顧客管理をExcelからクラウドCRMに移行し、取引履歴・商談記録・価格条件をデジタル化。3年後にM&Aを検討した際、デジタル化された顧客データが買い手企業の評価を上げ、希望通りの価格での譲渡が実現した。

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事業承継とDXに使える補助金

事業承継・引継ぎ補助金:M&A・親族承継・第三者承継のそれぞれに対応した補助金だ。「経営革新事業(旧:創業支援型)」では承継後の新事業や設備投資に使える。DX投資も対象になるケースがある。

IT導入補助金:承継に関わらず、業務デジタル化の投資に活用できる。承継前のデジタル化にも対象となる。

ものづくり補助金:設備投資と合わせてDXを進める際に活用できる。


後継者候補の間口を広げる

DXが進むと「業界経験のない人でも承継できる」可能性が上がる。

これは第三者承継(M&A)の時に特に効いてくる。買い手企業が異業種からの参入を検討する際、「全ての業務がデジタル化・マニュアル化されていて、創業者の人脈なしでも運営できる」状態だと、買い手のリスクが下がる。結果として買い手候補が増え、条件が改善する。


よくある質問

Q. 後継者候補が社内にいるが、DXを進めることに抵抗している。どうするか?

後継者候補が抵抗している場合、「自分の仕事がシステムに置き換えられる」という不安がある可能性が高い。DXの目的を「業務の削減」ではなく「後継者の負担を減らすため」として伝えることで、受け入れられやすくなるケースが多い。

Q. 従業員承継を考えているが、デジタルに詳しくない従業員への引き継ぎは可能か?

可能だ。むしろ「デジタルが苦手な従業員でも使える程度のシンプルなシステム」を選ぶことが、従業員承継には向いている。高度なシステムは引き継ぎ後に使われなくなるリスクがある。


まとめ

  • 後継者不在の根本原因の一つは「属人化した暗黙知」。DXはその解消手段になる
  • DXで企業価値を高めた後にM&Aを検討すると、条件が改善しやすい
  • 3〜5年の時間がある経営者は今すぐDXと承継計画を並行して始めるべき
  • 事業承継補助金・IT導入補助金を組み合わせることでコストを抑えられる

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著者プロフィール

伊藤健太|株式会社ウェイビー 代表取締役CEO

23歳、病気をきっかけに、小学校友人4名、資本金5万円で起業。2011年から起業支援の行政書士として国内有数の年1,000社超の起業に携わる。その後、売上アップ、仕組み化、新規事業、事業承継、AI、DX化など1万社超の起業家、経営者の成長支援をサポート。全国700回を超える講演、著書7冊。

1986年横浜市生まれ、熊本市在住。慶應義塾大学法学部卒業。元徳島大学客員教授。ダボス会議 U33メンバー。東京都INCU Tokyoメンター。熊本市スタートアップメンター。