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複数の補助金を組み合わせる。IT導入補助金+ものづくり補助金の併用戦略

📅 2026年07月22日
アキナイクロス

「IT導入補助金とものづくり補助金、両方使えますか」という相談を、私は毎年何十件も受ける。答えは「使える。ただし設計が要る」だ。

複数の補助金を組み合わせる。IT導入補助金+ものづくり補助金の併用戦略

2,000社を超える支援の中で、両方を同じ年度で組み合わせて投資額を圧縮した会社を何十社も見てきた。一方で、タイミングを誤って片方を無駄にした会社も見てきた。この記事では、併用の可否・申請タイミングの調整・審査機関との関係を具体的に整理する。


併用は制度上できるのか

結論から言う。IT導入補助金とものづくり補助金は、対象経費が重複しない限り同一年度での併用が可能だ。

両制度とも「同一の経費に対して複数の補助金を受けること」(重複受給)を禁止している。裏を返せば、投資計画を経費単位で分割し、それぞれ別の経費に別の補助金を充てれば問題ない。

私が支援した金属加工業(従業員28名、熊本県)の例では、次のように経費を分けた。

  • ものづくり補助金(デジタル枠):加工機とセンサーを連動させる生産管理システムの導入費 1,200万円
  • IT導入補助金:受発注・請求書処理のクラウド会計ソフト導入費 180万円

両者は「対象となる設備・ソフトウェアの機能」が明確に異なっていたため、審査機関からの指摘なく両方採択された。補助率はものづくり補助金が1/2(上限750万円)、IT導入補助金が1/2〜3/4(上限450万円)で、投資額1,380万円に対して合計約900万円の補助を受けた。

【実録:建設業での併用失敗】
愛知県の建設会社(従業員15名)は、施工管理システムの導入費用をIT導入補助金とものづくり補助金の両方に申請しようとした。同一のシステム・同一の経費区分だったため、事務局から「重複申請の疑いあり」と指摘を受け、片方を取り下げることになった。経費を機能単位で分割していなかったことが原因だった。


申請タイミングをどう調整するか

申請タイミングをどう調整するか

併用で最も重要なのが申請タイミングだ。両制度は公募スケジュールが年に数回あり、締切がずれている。

私が推奨する順序は次のとおりだ。

1. 投資計画全体を先に固める

「何にいくら投資するか」を最初に確定させる。ここを曖昧にしたまま個別に申請すると、経費区分の整理が後手に回る。

2. ものづくり補助金を先に申請する

ものづくり補助金は審査期間が2〜3ヶ月と長い。採択発表を待ってからIT導入補助金の対象経費を確定させると、経費の重複を避けやすい。

3. IT導入補助金は交付決定後に発注する

IT導入補助金は審査・交付決定までが比較的早い(申請から1〜2ヶ月程度)。ものづくり補助金の採択結果を見た上で、残りの経費に対して申請する。

この順序を逆にすると、IT導入補助金で先に発注してしまった経費を、ものづくり補助金側で計上できなくなるケースが起きる。私が見た失敗の8割はこの順序ミスだった。


審査機関との関係をどう整理するか

審査機関との関係をどう整理するか

IT導入補助金とものづくり補助金は運営する事務局が異なる。IT導入補助金は「IT導入支援事業者」を通じて申請し、ものづくり補助金は自社(または認定支援機関)が直接申請する。

この違いから、次の点を必ず確認してほしい。

IT導入支援事業者の選定は投資計画の全体を共有した上で行う

IT導入支援事業者はソフトウェアベンダーが兼ねていることが多い。ものづくり補助金側の設備投資と機能が重ならないよう、事業者にも投資計画全体を伝えておく必要がある。

認定支援機関には両方の申請書を見せる

ものづくり補助金の申請には認定支援機関の確認が必要な場合が多い。IT導入補助金の申請内容も合わせて見せることで、経費区分の重複チェックを事前に行える。

事業計画書の記述を統一する

両方の申請書に「自社の課題」「投資の全体像」を記載する際、内容が矛盾しないようにする。審査員は個別の申請書しか見ないが、後の実績報告で経費の突合が行われるため、整合性が取れていないと指摘の対象になる。

【実録:製造業での併用成功】
岡山県の食品加工業(従業員42名)は、ものづくり補助金で新設備(急速冷凍機)を導入し、IT導入補助金でその設備と連携する在庫・出荷管理システムを導入した。認定支援機関とIT導入支援事業者の両方に投資計画の全体像を共有していたため、経費区分の整理がスムーズに進み、両方とも申請から3ヶ月以内に採択された。

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まとめ

  • IT導入補助金とものづくり補助金は、対象経費が重複しなければ同一年度で併用できる
  • 投資計画を機能単位で経費区分し、重複がないことを明確にする
  • ものづくり補助金を先に申請し、採択結果を見てからIT導入補助金の経費を確定させる
  • IT導入支援事業者・認定支援機関の双方に投資計画の全体像を共有する

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著者プロフィール

伊藤健太|株式会社ウェイビー 代表取締役CEO

23歳、病気をきっかけに、小学校友人4名、資本金5万円で起業。2011年から起業支援の行政書士として国内有数の年1,000社超の起業に携わる。その後、売上アップ、仕組み化、新規事業、事業承継、AI、DX化など1万社超の起業家、経営者の成長支援をサポート。全国700回を超える講演、著書7冊。

1986年横浜市生まれ、熊本市在住。慶應義塾大学法学部卒業。元徳島大学客員教授。ダボス会議 U33メンバー。東京都INCU Tokyoメンター。熊本市スタートアップメンター。