チャットツール比較。Slack vs Chatwork vs LINE WORKS。中小企業の選び方
「とりあえずLINEで連絡していたが、取引先の情報と社内の雑談が混ざって困った」——私はこの相談を何度も受けてきた。

チャットツールの選定を後回しにする中小企業は多い。だが、連絡手段が整理されていない会社ほど、情報の抜け漏れとミスが増える。
2,000社を超える支援の中で見えてきた、Slack・Chatwork・LINE WORKSの違いと、業種別の選び方を整理する。
個人LINEでの業務連絡が限界を迎える理由
個人LINEはビジネス利用を想定していない。この一点に尽きる。
社員の個人アカウントに取引先が直接メッセージを送る形になるため、退職時に連絡先が引き継げない。既読・未読の管理もグループが増えるほど崩れる。プライベートの連絡と業務連絡が同じ画面に並ぶことで、返信の見落としも起きる。
さらに、個人LINEでは誰がいつ何を発言したかの記録を会社として管理できない。トラブル時の確認ができず、言った言わないの水掛け論になる。
正しい考え方:業務用チャットツールは「情報の整理」と「退職時の引き継ぎ」のために入れる。便利機能を求める前に、この2点だけでも導入価値がある。
この記事で答える問い
Slack・Chatwork・LINE WORKSは何が違い、自社はどれを選ぶべきか。費用・機能・使いやすさ・外部連携の4軸で比較する。
3ツール比較表
| 項目 | Slack | Chatwork | LINE WORKS |
|---|---|---|---|
| 無料プラン | あり(履歴90日) | あり(7人まで) | あり(100人まで) |
| 有料プラン目安 | 1人月1,050円〜 | 1人月700円〜 | 1人月450円〜 |
| 使いやすさ | ITリテラシーが必要 | 直感的で覚えやすい | LINEと同じ操作感 |
| 外部連携 | 豊富(2,000種以上) | 中程度 | LINE公式アカウント等と連携可 |
| 社外連絡 | Slackコネクトで可能 | コンタクト機能で可能 | 外部連携は限定的 |
Slackの強みと弱み。ITツールに慣れた組織向け
Slackは外部ツールとの連携数が圧倒的に多い。Googleカレンダー、各種SFA、開発ツールまで幅広くつながる。チャンネル運用に慣れれば情報整理力は高い。
一方で、初めてチャット系ツールを使う社員には、チャンネル・スレッド・DMの使い分けが直感的でない。導入初期に迷う社員が一定数出る。
向いている業種:ITに慣れた社員が多い会社、外部ツールを多用する会社。士業事務所でクラウド会計・契約管理ツールと連携させたい場合にも合う。
Chatworkの強みと弱み。ITが苦手な社員がいる組織向け
Chatworkは画面がシンプルで、メールに近い感覚で使える。タスク管理機能が標準搭載されており、「誰が・いつまでに・何をするか」をチャット内で完結できる。
外部連携数はSlackほど多くないが、中小企業が実務で使う範囲では十分な連携先が揃っている。
向いている業種:建設業、製造業など、現場にITが得意でない社員が多い会社。取引先とのやり取りが多い士業事務所にも向く。
LINE WORKSの強みと弱み。現場スタッフが多い組織向け
LINE WORKSは普段のLINEとほぼ同じ操作感で使える。これが最大の強みだ。新しい操作を覚える負担がほとんどない。
無料プランでも100人まで利用できるため、小規模事業者にとって導入ハードルが低い。一方で、外部ツールとの連携はSlack・Chatworkに比べると弱く、業務システムとの深い連携には向かない。
向いている業種:飲食店、小売店など、パート・アルバイトを含む現場スタッフが多い会社。シフト連絡や店舗間の情報共有が中心の業種に特に合う。
Microsoft TeamsとMessengerはどう違うか
Microsoft 365を契約している会社ならTeamsが選択肢に入る。Word・Excel・Outlookとの連携が深く、社内会議のオンライン化も同時にできる。ただし、Microsoft 365を使っていない会社が新規で導入するメリットは薄い。
Messenger(Facebook)は個人利用の延長線上にあるツールで、法人での情報管理・権限設定の機能が弱い。取引先との簡易連絡には使えるが、社内の主軸ツールには向かない。
チャットツール選びで最初に確認すべきは「今すでに契約しているサービス」だ。Microsoft 365を使っているなら、まずTeamsを検討対象に入れる。
業種別・おすすめの組み合わせ

- 製造業:Chatwork(現場と事務所のやり取りが多く、タスク管理機能が活きる)
- 小売業:LINE WORKS(パート・アルバイトへの操作説明が不要)
- 士業:Slack(クラウド会計・契約管理ツールとの連携を重視する場合)またはChatwork(社外とのやり取りが多い場合)
- 飲食業:LINE WORKS(シフト連絡・店舗間共有が中心)
- 建設業:Chatwork(現場監督とのやり取りをタスク化しやすい)
どの業種でも共通するのは、「全員が迷わず使えるか」を最優先で判断することだ。機能の豊富さより、現場が使い続けられるかどうかで選ぶ。
まとめ
- 個人LINEでの業務連絡は情報管理と引き継ぎの面で限界がある
- Slackは外部連携の豊富さが強み。ITに慣れた組織向け
- Chatworkはタスク管理と分かりやすさが強み。現場と事務所の連絡が多い業種向け
- LINE WORKSはLINEと同じ操作感が強み。現場スタッフが多い業種向け
- 既にMicrosoft 365を契約しているならTeamsも検討対象に入れる
- 機能数ではなく「全員が迷わず使えるか」で選ぶ
著者プロフィール
伊藤健太|株式会社ウェイビー 代表取締役CEO
23歳、病気をきっかけに、小学校友人4名、資本金5万円で起業。2011年から起業支援の行政書士として国内有数の年1,000社超の起業に携わる。その後、売上アップ、仕組み化、新規事業、事業承継、AI、DX化など1万社超の起業家、経営者の成長支援をサポート。全国700回を超える講演、著書7冊。
1986年横浜市生まれ、熊本市在住。慶應義塾大学法学部卒業。元徳島大学客員教授。ダボス会議 U33メンバー。東京都INCU Tokyoメンター。熊本市スタートアップメンター。
